「ほらほら! 眉間にスゴいシワできてる! あんまり深刻に考えないで、ドッシリ構えてなよ。――ほら、もうすぐ学年末テストもあるしさ。それでいい報告できたら、おじさまもなんか返事くれるかもよ?」

 さやかに励まされ、愛美は少しだけやさぐれかけていた気持ちが解れた気がした。

「……うん、そうだね。ありがと」

 向こうの事情もまだ分からないのに、一人でウダウダ悩んでいても仕方ない。あとはひたすら待つしかないのだ。

「さて、今日はウチの部屋で一緒にテスト勉強する?」

「うん。とか言って、ホントはわたしに教えてもらいたいだけなんでしょ?」

「……うっ、バレたか。ねー愛美ぃ、お願い! 珠莉も愛美に教わりたいって。ねっ、珠莉?」

「……えっ? ええ……」

 突如巻き込まれた珠莉は一瞬戸惑ったけれど、実はさやかの言った通りだったらしい。

「もう。しょうがないなあ、二人とも。じゃあ、寮に帰ろう。着替えたらすぐ行くから」

 やり方は不器用ながら、二人は懸命に自分を励まそうとしてくれている。それが分かった愛美は、二人の親友の提案に乗ることにしたのだった。

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 ――それから一週間が過ぎ、学年末テストも無事に終わった。
 けれど、愛美の体調は無事ではなく、テスト期間中から(のど)をやられているのかゴホゴホと咳込んでいた。

「大丈夫、愛美? カゼでも引いた?」

「ううん、大したことないよ。ちょっと喉の調子が悪いだけ」

 ムリしてさやかに笑いかける愛美だけれど、実は喉の痛みだけでなく頭痛にも悩まされていた。

「そう? だといいんだけどさ。――それにしても、愛美はやっぱスゴいわ。今回はとうとう学年でトップ(ファイブ)に入っちゃったもんね」

「……まあね」

 今度こそ、〝あしながおじさん〟に自分の頑張りを褒めてもらいたくて、愛美は必死に頑張ったのだ。たとえ、少々体調が(すぐ)れなくても。