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『拝啓、大好きなおじさま。
お元気ですか? わたしは今日も元気です。
それはさておき、聞いて下さい! 秋に応募した文芸部の短編小説コンテストで、わたしの小説が入選したんです! しかも大賞!
今日の放課後、部室の前に貼り出されてる自分の名前を見ても、信じられませんでした。だって、入選した人の中で一年生はわたしだけ。しかも、他の人はみんな文芸部の部員さんだったんですよ。
そして、部長さんにベタ褒めされて、文芸部への入部を勧められました。部長さんはもうすぐ卒業されるので、早めに返事がほしいみたいでしたけど、わたしはひとまず保留にしました。もしかしたら、二年生に上がってから入るかもしれませんけど。
どうですか、おじさま? わたしは小説家になるっていう夢へ向けて、大きな一歩を歩み始めました。それはおじさまの夢でもあるはずですよね? 喜んで下さいますか?
もしよかったら、「入選おめでとう」っていうお返事を書いて下さる気にはなりませんか? もし「手紙を書くのが面倒くさい」っていうなら、わたしのスマホにメールを下さい。この手紙の最後にアドレスも書いておきますね。
以上、初入選の報告でした☆ ではまた。 かしこ
一月十五日 愛美 』
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「いくら忙しくたって、メール送るヒマもないなんてことないもんね♪」
愛美はメールアドレスまで書き終えると、フフッと笑った。
それでも何の反応も示さなければ、わざと無視していることになる。自分の娘も同然の存在に対して、そこまで薄情な振舞いはできないと思う。
――その手紙を出してから一週間が経ち、二週間が経ち……。愛美がいくら待てど暮らせど、〝あしながおじさん〟からの手紙はおろか、メールすら一通も来ない。