「はい……」
一体、どんな話し合いがされたんだろう? ――愛美は固唾を飲んで、園長先生の話の続きを待った。
「愛美ちゃんも知ってるでしょうけれど、この〈わかば園〉は経営が苦しくて、愛美ちゃんの高校の費用を出してあげられないの。それ以前に、ここには中学校を卒業するまでの間しか置いてあげられない」
「それは分かってます」
愛美が堅い表情で頷くと、園長先生は表情を少し和らげ、申し訳なさそうに続けた。
「愛美ちゃん、あなたには本当に感謝してるし、申し訳ないとも思ってるのよ。私たち職員の手が回らない分、小さい子たちのお世話や施設の仕事も手伝ってもらって」
「いえ、そんな! わたしが進んでやってることですから、気にしないで下さい!」
それは、弟妹たちやこの施設が大好きだから。ただみんなの役に立ちたくてやっているだけだ。
「そう? それならいいんだけれど……。でもね、私はあなたの夢を知ってるし、応援してあげたいの。だから、進学はするべきだと思うわ」
「えっ!? でも――」
「話は最後まで聞きなさい、愛美ちゃん」
言っていることが矛盾している、と抗議しかけた愛美を、聡美園長がたしなめる。
「私が理事会のみなさんにそう言ったらね、先ほどのあの方が私に賛同して下さって。『彼女の文才をこのまま埋もれさせるのは惜しい』って」