(可愛いなぁ……)

 愛美はその光景にホッコリした。
 美空は写真で見ても十分可愛かったけれど、実物はそれ以上に可愛い。猫のココを抱っこしているので、今はその可愛さが二倍になっている。

「美空ちゃんっていうんだね。初めまして。わたしはお姉さんのお友達で、愛美っていうの。仲良くしてね」

「うんっ! まなみおねえちゃん、よろしくおねがいしますっ」

 美空が舌足らずで一生懸命言うのを待って、ココも「にゃあん」と一鳴き。

「かぁわいい~~!」

 思わずほわぁんとなってしまう愛美だった。

「――さやかちゃん、おかえりなさい。愛美ちゃんも、よく来てくれたわねえ」

 次にさやかと愛美の二人に声をかけてくれたのは、さやかの祖母・雪乃(ゆきの)だった。
 歳は七十代初めくらいで、髪は肩までの長さのロマンスグレー。物腰の柔らかそうな、おっとりした感じの女性である。

「おばあちゃん、ただいま。しばらく帰ってこられなかったけど、元気そうだね。安心した」

「相川愛美です。さやかちゃんにはいつもよくしてもらってます」

「そう? よかったわ。ウチの孫たちはみんな、いいコに育ってくれて。私も嬉しいわ」

 このリビングにいる面々に一通り挨拶を済ませた頃、さやかの母・秀美(ひでみ)がティーカップの載ったお盆を手にしてやってきた。

「愛美ちゃん、あったかい紅茶をどうぞ。ストレートでよかったかしら? お砂糖はコレね」

 お盆にはシュガーポットとスプーンも載っていた。さやかの分もある。

「わあ、ありがとうございます。頂きます」

 カップを受け取った愛美は、シュガースプーン二杯のお砂糖を入れて紅茶に口をつけた。紅茶は甘めが好みである。
 さやかは甘さ控えめで、お砂糖は一杯だけだ。

「――あ、そうだ。明日は午後からクリスマスパーティーするから。愛美ちゃんもぜひ参加してよ」

「ああ、さやかちゃんから聞いてます。従業員さんのお子さんたちを招いて開くんですよね。もちろん、わたしも参加します」