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「えっ、コレだけ? クリスマスプレゼント……がお金って」

 愛美は小首を傾げ、うーんと唸った。ますます、〝あしながおじさん〟という人のことが分からなくなった気がする。

(プレゼントは嬉しいけど、お金っていう発想は……どうなの?)

 彼の意図をはかりかねているのは、さやかと珠莉も同じようで。

「まあ、なんて現実的なプレゼントなんでしょ。一体どういう発想なのかしらね?」

「何を贈っていいか分かんないから、無難にお金にしたんじゃないの? ほら、女の子の援助するの、愛美が初めてらしいし」

「あー、なるほどね」
 
 さやかの推測に、愛美は納得した。
 娘がいる父親なら、愛美くらいの年頃の女の子が欲しがるものも大体分かるはず。ということは、彼には子供――少なくとも娘はいないということだろうか。

(もしいたとしても、まだ小さいんだろうな。まだ若い感じだったし)

「――んで? あたしの家に来ることについては、何か書いてないの?」

「ううん、何も書いてないよ。ってことは、おじさまも反対じゃないってことなのかな?」

 愛美はこの手紙の内容を、そう解釈した。
 それだけではない。反対していないどころか、自由に使えるお金まで〝プレゼント〟という名目で送ってくれたのだ。

「そうなんじゃない? よかったね、愛美」

「うん!」

 愛美は笑顔で頷いた。
 一番の心配ごとが解決し、愛美の新しい悩みが生まれる。

「――さてと。このお金で何を買おうかな……」

 使いきれないほどの大金の使い道に、愛美は少々困りながらもワクワクしていたのだった。