「中には、特定の作家さんを名指ししてる投稿もあって。その中で、ナミ先生に書いて頂く投書は僕の独断(どくだん)で決めさせて頂きました。もう取材のアポも取ってあります」
「つまり……、その投稿の主は私に書いてほしいって言ってきてるワケね?」
 こりゃ責任重大だ。ご指名まで入ってるんじゃ(お水じゃないけど)、「書けません!」って途中でぶん投げるわけにもいかなくなる。
 ……もっとも、私はスランプになったことはあっても、仕事を途中で投げ出したことなんかないんだけど。
「先生に書いて頂くのは……この投稿です。都内のある女子高生の投書なんですが」
 原口さんはそう言いながら、『すみっコぐらし』のレターセットと(おぼ)しき一通の封筒を私に差し出す。もう封は開いているらしい。
「女子高生? 原口さんはもう読んだのね、コレ?」
「ええ。ちょっと衝撃的な内容ですよ」
 女子高生の恋愛で〝衝撃的〟とは……。ちょっと気になる。いったいどんなことが書かれているんだろう?