その大型商業施設は駅の目の前にある。田舎のあるあるだが例え平日だろうと、他に行く場所がないのでこう言ったところには常に人がいる。案の定、平日の夕方だが若い人からお年寄りまで幅広い年代の人で混雑している。夏帆は人混みを見て、僕の手を握る力を強めた。

「はぐれないようにちゃんと握っていてね。」

その言葉に夏帆は頷きで答える。さらに、体を寄せて僕から離れないようにした。

夏帆に連れられ、服屋に入った。定員さんの声をよそに、夏帆は欲しいものがあったのか、他のものに目もくれずに僕の手を引っ張った。