渉が自分から離れたら、少し駆け足になって夏帆が近づいてきた。

「邪魔だったかな?」

「大丈夫だよ。渉くんも気を使ってくれたから。」

少しだけ申し訳なさそうな夏帆に向けて僕はいう。

「いいんだよ。僕は夏帆の彼氏だから。遠慮しないで。そうだ放課後時間あるかな?」

僕の急な提案に少し夏帆は戸惑っていた。

「別に何もないけど。どうして?」

「いや、体育見てて少しだけでいいからボールに慣れてほしいなって。せっかく、成績がいいのに体育で落とすのはもったいないでしょ?」

「うん・・・。」

夏帆は少し乗り気ではないみたいだ。

「大丈夫だよ。少しずつなれていくためだから、そんなスパルタなことはしないし。」

「放課後は一緒に買い物行きたかったから・・・。」

上目遣いで僕を見る。そんな顔をされたら断れないじゃないか。

「そうか。じゃあまた今度にしようか。今日は一緒に買い物しようか。」

夏帆の表情がかなり明るくなる。

「わかった!!約束だからね!!」

少しだけテンションが上がった夏帆が自分に迫ってきた。

「でも、一回家に帰ってからにしよう。財布も何も持ってきてないから。」

夏帆と集合する場所を決めて、今日の最後の授業を受けた。