お弁当を食べながら、話をする。日常のことから今まで受けてきたいじめのこと、自分に対する思いだったり、自分の思い。夏帆ちゃんは自分でお弁当を作っているということですこし貰ったりもした。お弁当を食べ終わった後も、2人っきりでいた。

「あのさ、僕たち付き合ってるでいいんだよね?」

さっきまで、饒舌に話していた夏帆ちゃんは自分から目を逸らし、答えずらそうにしていた。はっきりとした告白はしていない。でも、ある程度、行動では伝えていたとは思う。もし、夏帆ちゃんが嫌ならすぐに拒否するだろうからおそらく答えはYESなのだと思う。中学一年でも、そういう色恋沙汰に興味がないわけじゃない。むしろ、興味津々な時期だ。今まではそんなこと意識する余裕がなかった。この安息ができてまだすこししか時間は立っていないけど心にかなり余裕が生まれてきた証拠だと思う。

「じゃあ、言葉にするね。好きです。僕とお付き合いしてください。よろしくお願いします。」

自分が告白すると、さらに夏帆ちゃんの顔は赤く高揚していた。夏帆ちゃんは反応してくれない。

「ダメかな?嫌だったら断って欲しいけど。」

「嫌じゃない!!」

夏帆ちゃんは食い気味に否定してきた。顔をしばらく見合わせると、再び夏帆ちゃんは顔を赤くして僕から目を背けてしまった。

「ただ、嬉しくて恥ずかしかっただけだから。」

「じゃあ、これから慣れていかないとね。」

夏帆ちゃんは僕と顔を合わせて、

「私も好きです。これからよろしくお願いします。」

夏帆ちゃんは深々と顔を下げた。そんな、夏帆ちゃんの顔にふれ、顔を上げさせ、唇を重ねた。流石に、これは僕も恥ずかしかったので重ねた後は、体を回し、何も話せなくなった。背中を合わせて、お互いの体温を感じながら、今さっき手に入れた幸せを感じていた。

重ねて以降、何もないまま昼休みも終わりに近づき、教室に戻る時間になった。

「夏帆ちゃん、教室に戻ろうか?」

僕が立ち上がろうとすると、腕を掴まれた。

「夏帆ちゃんは嫌。夏帆がいい。」

自分がずっとちゃん付けで読んでいたことが気になっていたのだろうか、下の名前だけで読んで欲しいということだった。

「わかった。夏帆、行こうか。」

自分は腕に力を入れて、すこし強引に夏帆を立たせた。すると、夏帆は自分に近づき、口を重ねた。急なことにびっくりして少し、思考が止まった。夏帆は顔を赤くしながら、

「お返し。」

とだけ言って顔を伏せた。