「だ、だから、美香とは付き合っていて、将来結婚するって言って」

なに堂々と言ってるのよ!!

「付き合ってないよね?」

生まれてこの方、一度もね。

「まして、結婚なんて聞いたこともなかったけど?」

じっと下を向いていた真也君。

その頬は、完全にトマトだ。

「だ、だから……美香!!俺と結婚を前提に付き合って欲しい」

ガバリと頭を下げて、右手を差し出す真也君。

さて、どうしてやろうか……

なんて意地悪はもうやめた。

「しょうがないわね。どうしてもって言うなら……」

一歩近付いて、左手で彼の手を取る。

「いいよ」

途端、真也君の腕に包まれた。

「美香のくせに、生意気」

「あら、いいの?私、滑り止めで受かった大学も、かなり気に入ってるんだけど」

全く違う地域のね。

「だ、だめだ。俺は美香と一緒がいい」

「じゃあ、そういうことで」