「なあ、美香」

「なに?」

「毎日、勉強会しねえ?」

毎日かあ……

「いいけど」

「なんなら、火、木はうちでやってもいいし」

うち?

三上君の家なんて、中学生以来行ってないんだけど……

ここに来て、いきなり来いと言われても、即答はできかねる。

「も、もちろん、リビングで。なんなら、美香の家のリビングでもいいぞ」

うちですか……

ていうか、リビングでを強調しなくたって、なにも心配もしてなきゃ遠慮も期待もしてないんだけど。


「俺をF大学が受かるレベルまで上げてくれよ。高校受験の時みたいにさあ」


ああ、そうだった、そうだった。

中学生の頃、部活で朝から晩まで駆けずり回っていた真也君は、お勉強の方がヤバくて。

「美香と同じ高校に行く!!」

なんて豪語したはいいものの、途方に暮れてたんだっけ。

見捨てるわけにも行かなくて、毎日のように一緒に勉強してたんだよね。


あれだけ短期間でガンガン頑張って、必死で入った高校だっていうのに、1年半近くもの間、もったいないことしてたよねぇ。

女の子と遊びたいだけなら、なにもここへくる必要なんてなかったのにね。

なんて、意地悪なとこは本人に言わないけどね。