それからしばらく、それぞれの勉強を進めていた。

なんだかんだ言って、三上君もシャーペン片手に何やら書き込んでるところを見ると、一応勉強をし始めたようだ。

「なあ、美香」

すっかり三上君の存在を忘れて自分の世界に入っていた時、不意に呼びかけられて意識が戻ってくる。

「ん?なんだった?」

「これ、どういうこと?」

英語かあ。
ああ、これならできる。

三上くんは私の説明を、真剣に聞いていた。

「美香ってさあ、結構勉強できるのな」

「そんなことないって。でも、そろそろ進路を考えてるじゃない?少しでも選択肢を広げるためには、勉強はしとかないとって思ってね」

「美香ちゃんは、進路決めてるの?」

いつのまにか、南くんも手を止めて話に加わってきた。

「まだはっきりさせてるわけじゃないけど、いくつか候補はね。南君は?」

「俺は警察官になるって決めてる」

「そうなの?もう目標が決まってるって、すごいね」

「まあね。父親の影響でさ」

そうか。
南君のお父さんは警察官だって、前に話してくれたっけ。

「三上君は?決めてるの?」

そういえば三上君からの会話だったと、隣に振ってみた。

「俺は……まだ何も」

「そっかあ。まあ、焦らずやりたいこと見つけていかないとね」