その時、図書館のドアが開く音が響いてきた。

珍しい、さらに利用者が増えるなんて。

「あっ、真也くーん!!」

静かな空間を意識したのか、ほんの少しだけ控えめで、それでも十分な音量で声を発したのは……

うん。知らない人。

まあ、たぶん三上君の取り巻きだろう。

「ああ、なに?今日約束してたっけ?」

女の子相手に、そんなめんどくさそうな対応しないでもいいのに。

「ううん。会いたくて探しちゃった」

めげずに三上君の腕に絡みつくあたりは、かなりの強者だと思う。

そんなふうに甘えられるのは、きっと自分の容姿に自信があるからなんだろうなあ。

確かに、バッチリメイクで可愛いもんね。

「まさか見つけられるなんて、運命じゃない!?」

体を寄せる女の子。

随分と安っぽそうな運命だな。


三上君は、イラッとした顔を彼女に向けたものの、ふと真顔になって、私の方を見てきた。

「しょうがねぇなあ……」

なにが?

それ、私の方を見て言うセリフじゃないのに。



そのまま、彼女の頭を撫で出した。

ここは図書館だよ?

いちゃいちゃしたいのなら、他でやってよ。