そんなふうに過去に囚われているのは、たぶん私だけなのかもしれない。

今の彼は、当時と同じ人に思えないと感じるのは私の思い込みで、本来彼はこういう人だったのかもしれない。


私が見抜けてなかっただけ。


だから、その現実を受け止められない私は、彼に対する呼び方を変える。

そうすることで、親友だった彼とどこか別人のようになってしまった彼を区別しようとしているのかもしれない。


「じゃあな」

三上くんはそれ以上理由を追求せず、一足先に入っていった。