何だか自分で考えておきながらショックを受けていた。
キャバ嬢相手だなんて……。
派手だが美人で華やかな世界の人に勝てる気はしない。
「でも僕……キャバ嬢の人が苦手なんですよね」
えっ?鬼龍院さんの意外な言葉に反応する。
そうなの……?
「どうして……?」
「視察で何度かお邪魔したことがあるんですが、あの方達って……スキンシップが激しくて。
それに目がギラギラして迫ってくるから怖くて
いつも怯えちゃって……お恥ずかしいです」
あっ……逆だった。ついついヤクザと聞いて女性を囲むオオカミの姿を想像してしまった。
だが鬼龍院さんの場合は、逆だった。
オオカミってより、どう考えてもオオカミの群れに迷い込んでしまった子羊だ!
確かに鬼龍院さんみたいなタイプで、しかも天使の微笑みを見たらキャバ嬢の人達は、イチコロだろう。
そして、それを見たさや自分のモノにしようと狙ってくるはず。考えただけでも恐ろしい……。
危険だわ……違う意味で!!
「大丈夫ですよ。鬼龍院さん。
もし鬼龍院さんに色目を使って迫ってきても私が守りますから」
「……本当?」
「はい、任せて下さい!」
私は、ドンッと自分の胸を叩いた。
何だか違う意味で警戒することになってしまった。
本来なら、浮気の心配をしないといけないところなんだが鬼龍院さんの場合は、狙われる方だからなぁ……。
うーんと考えていると鬼龍院さんは、頬を赤く染めながらニコッと微笑んでくれた。
本当に……私は、鬼龍院さんの笑顔に弱い。
胸がキュンキュンして心臓の鼓動が高鳴る一方だわ。
しかし、その時だった。
話している私達の前にぞろぞろと怪しい男性達が現れた。な、何!?
また変な連中が鬼龍院さんを狙いに来たのだろうか。
すると鬼龍院さんは、すぐ私の前に立った。
「何の用だ?」
ギロッと若頭モードで怪しい男性を睨みつけた。
その雰囲気は、いつ見ても鋭く黒いオーラを漂わしていた。
だがその男性達は、気にすることなく背広のポケットから何かを取り出した。それは、警察手帳だった。