「あの……ここに戸田君居ますか?
戸田雅也って名前なんですけど……私は、彼に話があるの」
「すみませんが……お名前をお伺いしてもよろしいですか?あと身分証明書も……」
えっ?もしかしなくても私を疑っている?
だが引く訳にはいかない。
何が何でも戸田君と話をして説得しないと……。
するとその時だった。
「椎名先生!?」
えっ……?と振り向くと戸田君本人だった。
丁度良かった……呼んでもらう必要もなくなった。
「何で……先生がここに!?」
「決まっているじゃないの。あなたを連れ戻すためよ!!
さぁ、こんなところでバイトしてないで家に帰るわよ!」
強引に戸田君の腕を引っ張り連れ戻そうとする。
しかしバシッて私の手を払い除けてきた。
えっ……戸田君?
「俺は、帰らない!!」
「帰らないって……あなた。
ここは、何処か知っているの!?ホストよ?
あなたみたいな未成年が働くところではないの。
だから大人しく辞めて帰りなさい」
「わ、分かってないのは先生だよ!!
俺は、絶対に辞めない。もし学校とか説教するなら、俺学校を辞めたっていい。
あんなつまらない学校なんて行くより、ここで華やかなホストで働いた方が自分のためになるし」
「学校を辞める!?
あなた……本気で言ってるの?」
私は、戸田君の言葉に衝撃を受けた。
つまらない学校とか、そういう問題ではない。
学校を辞めてもいいだなんて……どうしちゃったの!?
やはり父親の借金が原因なの?