「簡単に言わないでよ……自分でも気持ちが揺らいでいるのよ!」

「はいはい。あら?
今日は、坂下君は来ないのかしら?」

坂下君?あっ……。
 私は、窓を見た。そういえば、いつもこのタイミングで坂下君が登場するのに。体調でも崩したのかしら?
 私は、窓際の方に行ってみる。
すると窓の下に坂下君は、しゃがんでいた。
 あっ……ちゃんと居た!!

「坂下君?何で、こんな下に居るの?」

「……別に。ちょっと下で休んでいただけだし」

 いつも以上にムスッと不機嫌そうに答えてきた。
何でそんなに不機嫌そうなの?
 私は、不思議そうに覗き込んでいたら奈緒は、クスクスと笑った。

「あぁ……なるほどね。椎名先生が、あの男に告白したいと聞いて拗ねてるのね。
 ショックの仕方も可愛いわねぇ~」

「ち、ちげぇーし。俺は、そんなんで拗ねないし
入谷先生、勝手なことを言うなよ!?」

「……図星か」

 さらにクスクスと笑う奈緒に坂下君は、耳まで真っ赤にしていた。
 えっ?拗ねるって……どういうこと?
 奈緒も坂下君もたまに2人で話が盛り上がるため私だけ置いてきぼりになってしまう。一体何なのよ?
 そう思っていると坂下君は、頭をかきながら立ち上がると私を見てきた。

「俺は、反対だからな!」

 それだけ言うと走って行ってしまった。
一体なんだったのかしら?
 いつも言うだけ言って行かないでよ!?もう……。
呆れていると奈緒は、クスクスと笑いながらコーヒーを口につけた後にボソッと呟いていた。

「青いわね……少年よ」

 結局、坂下君の真意は、よく分からなかった。
奈緒に聞いても笑うだけで教えてくれないし。
 今度それとなく聞いた方がいいのだろうか?
そんなことを考えながら教室に向かった。