「あの彼氏カッケー!!
なんか格闘技とかやってたのかよ?」
えぇっー!?
生徒達は、不信感よりも興味の方を示していた。
私は、その勢いに逆に押されてしまった。
「あ、あなた達……私に不信感とかないの?」
自分で言うのも変だが思わず質問してしまった。
白い目で見ている様子は全く無さそうだ。
むしろ好意的におもえるのだが?
「えっ?何で?そりゃあ……驚いたけどさ。
椎名先生みたいな素直で面白い先生に不信感なんて抱く訳ないじゃん」
「そうそう。むしろ先生まで元ヤンだったら超面白いかも……」
なんて冗談まじりに言う生徒達。
どうやら私は、誤解をしていたみたいだ。
この子達とは、すでに信頼関係が生まれていた……。
良かった……本当に。
私は、ホッと肩の力を抜けると数人の女子生徒がこっそりと教えてくれた。
「あのね……実は、朝早く来るなり待ち伏せしていた坂下君がこう言ってきたの。
『椎名先生は、どんな奴と付き合おうが俺達の先生には変わらない。
ウザくて口うるさくて……でも生徒想いだ。だから変な目で見やるなよ!』ってさ。
そんなの言われなくても知ってるのにさ。
坂下君ってさ、変なところで真面目だよね?というより椎名先生ラブ?」
「椎名先生ラブでしょ~あれは」
キャッキャッと盛り上がる女子生徒達。
私は、それを聞いて驚いた。まさか……坂下君が!?
クラスの中を見てみるが坂下君は、何処にも居なかった。いつものサボり?
でも……私のためにわざわざ早く起きして皆に言ってくれたんだ?
後でお礼を言わなくちゃあ。
そう思う私の心の中は、ポカポカと温かくなった。
そして授業は、普通に行った。
坂下君の姿を見たのは、昼休みに奈緒が勤務している保健室でだった。というより……サボり過ぎでしょ!?
「ちょっと坂下君。あんたね。
いくら何でも授業には、出なさいよ!?」
「うるせーな。いいじゃん。
授業に出なくても俺……赤点取ったことないぜ?」
「そういう問題じゃないでしょ!!」