「どうですか?鬼龍院組の若君……葵さんは、いい男でしょう?」
えっ……?
私は、驚いて言葉に出そうになった。
ぐっと我慢すると理事長は、さらにクスッと笑った。
「彼のことは、昔から知ってますが純粋で涙もろいところがありましてね。
ココに連れてきた時も泣きそうになっていましたよ。
フフッ……ですが筋を通す真っ直ぐさもある。
あの用な騒ぎを起こされるのは困りますが、きっと
あなたを幸せにしてくれるでしょう」
それって……!?
「付き合うことは……認めて頂けるのでしょうか!?」
クビを言い渡されなかったけど、反対されると思っていた。
私は、理事長の意外な言葉に驚いた。
理事長は、ニコッと微笑んでいた。
「反対なんかしたら若君に泣きつかれますよ。
私は、彼の涙や笑顔に弱くてね。
まぁ、他の保護者や生徒などの目がありますから、あくまでも健全なお付き合いをお願いしますね」
「は、はい。承知しました」
私は、返事すると慌てて立ち上がり頭を下げた。
理事長から許してもらえた……。
理事長室から出ると私は、職員室に向かった。
どうなるのかと思ったがクビにもならなかったし、付き合いも反対されなかった……。
それに……今回のは、鬼龍院組の圧力ってよりも鬼龍院さんの人柄からだと思った。
彼の笑顔や涙に弱いのは、私も同じだ。
そう思ったらまた会いたくなってきた。
帰ったら会いに行ってみようかしら?なんて思ったりした。
職員室に行くと先生達には、白い目で見られたり教頭にまた小言を言われた。
でもそれより気になるのは、クラスの生徒達だった。
1組の生徒は、私の担当だ。
あの騒ぎで教え子達に不信感や不安をさせているのなら謝罪をしないといけない。
一度失った信用を取り戻すのは、簡単なことではないわよね。
ハァッ……とため息を吐いた。
それでも担任としてやらないといけない。
そう決意すると1組のクラスに向かった。
深呼吸してクラスの中に入ると生徒達が一斉にこちらに向かってきた。
「椎名先生~昨日の男って結局誰だったの!?
イケメンで強いって凄くない?」