「えっ……えっと。では53ページの……」
気を取り直して教科書を読もうとしたら、ガラッとドアが開き誰かが入ってきた。
入ってきたのは、クラスでも問題児である不良の坂下仁だった。
あ、また遅刻をしてきたわね!!
「ちょっと坂下君。あなた、また遅刻をしてきたわね!?
あれほど言ったのに」
「はぁっ?うるせーな。
遅刻してもサボらなかっただけでもいいだろーが」
「そういう問題ではないでしょ!!」
彼は、たびたび遅刻をしてきたり授業をサボったりして手を焼いていた。
すぐに口答えしてくるし本当に困った生徒だ。
しかも生意気で私を教師だと思っていないし……。
坂下君は、うるせーと言いながら自分の机にカバンを乱暴に置くとドカッと席に着いた。
態度も相変わらず悪いし……まったく。
「坂下君。授業中よ?
教科書を開きなさい。それに足を机に上に乗せないの」
「はぁっ?うるせーなババア」
はぁっ?何ですって……。
思わず怒りで持っていたチョークを折ってしまう。
「誰がババアですって!?
私、これでも24よ?まだピチピチの若さなんだから」
「24で……ピチピチって。ぷっ
ガタガタの間違いじゃねぇーの?おばさん」
「な、何ですって……ちょっと廊下に出なさい!?
話し合うじゃないの!!」
こうなったら誰も止められない。
他の生徒が必死に止めるが坂下君と言い合いになってしまった。
そうなると授業どころではない。
口喧嘩で授業が潰れてしまい、後で教頭先生にこっぴどく叱られた。
教師が生徒とまともに口喧嘩して授業を潰してどうするだと言われてしまう。
だ、だって……坂下君が生意気なんだもん。