こうなったら……無理やりでもやめさせるしかない!!
私は、持っていたカバンで坂下君を叩いて止めようとした。
しかしその時だった。
「上紗さん!?」
えっ?ピタッとカバンを持っていた手が止めた。
振り返ると鬼龍院さんが人混みから、かぎ分けてこちらに来た。
「鬼龍院さん……」
「何があったんですか?凄い騒ぎになってますよ!?」
「それが……」
私は、チラッと坂下君達を見た。
この状況をどう説明したらいいのだろうか……。
すると鬼龍院さんに気づいた坂下君がジロッと睨み付けてきた。
「おい。お前が何処かに行っている間に変な奴らに絡まれたんだ。
目を離してんじゃねぇーぞ!」
坂下君……。
すると襟を掴まえていたナンパ男が隙を見て坂下君を殴ってきた。キャアッ……坂下君!!
私は、唖然とする。どうしよう殴られてしまった。
「ぐっ……舐めんじゃねぇー!!」
殴られた坂下君は、キレる。
そして体勢を直すとその男を殴り返そうとした。
だ、ダメ……殴ったら!!暴力事件になっちゃう……。
私は、慌てて止めようとした。
すると鬼龍院さんは、ガツッと坂下君の腕を掴まえて、それを止めた。えっ……?
私も坂下君も驚いた。
周りは、何の騒ぎだとざわついていた。
「何するんだ!?離せよ!」
「ダメだ。ここは、ショッピングモール。
暴力事件になってみろ。周りの人に迷惑をかけてしまう。
それに君も捕まるぞ?」
「はぁ?そんなの知るかよ!!」