私がため息ばかり吐くから……。
何だか申し訳ない気持ちになった。
コクリと頷くとソファーまで案内してくれた。
鬼龍院さんは、自販機で飲み物を買うために離れていく。
私は、凄い人混みのため見えなくなる鬼龍院さんの後ろ姿を見ながらハァッ……とまた、ため息を吐いた。
何をやっているのよ……私ったら
鬼龍院さんの笑顔を見せないように妨害したり、気遣ってもらったり……。
まるで鬼龍院さんを守ろうとしているみたい。
相手は、ヤクザの若頭なのに。
自分の行動は、頭の中で考えている事と違うことばかりやっていた。
自分で自分の行動に呆れていると私の前に数人の男性が近づいてきた。
「あれ?お姉さん……1人?」
「美人じゃん。良かったら俺らとお茶したり遊ばない?」
ニヤニヤしながら話しかけてきた。
どうやらナンパらしい。しかも高校生ぐらいのチャラくて柄の悪い連中だ。
不良というより生意気な少年って感じだった。
「結構です。待っているだけなので……」
教師の私が教え子達と同い年ぐらいの子と遊ぶ訳がないでしょーが!!
まったく……呆れちゃうわね。
「えっ?もしかして女友達?」
「ならさ、その友達も呼んで一緒に遊べばいいじゃん?そうしなよ~」
断っても食い下がらない。しつこいわね……。
私。こういうナンパ野郎って苦手なのよね。
しつこいし、下心丸分かりでたちが悪いから
「いえ。必要ないですから」
「そんなこと言わずにさ~」
ナンパ男の1人が私の腕を掴んできた。本当にしつこい!!
私は、キレそうになった。
思わず平手打ちをしそうになる。しかし、その時だった。