「確かに……危ない目に遭わすかもしれない。
でも……そんなことはさせたくない。
僕が必ず守ってみせる。自分の命が犠牲になっても」
……鬼龍院さん。
その気持ちに私は、ギュッと締め付けられそうになる。私だって……同じ気持ちだ。
「私だって。葵さんと同じ気持ちです!
守られているばかりの女じゃない。
私の出来る限りの力で葵さんを守りたい。
私は、昔の幼い私じゃないから自分の幸せは、自分で掴んでみせるわ。だから私達を認めて下さい」
必死に鬼龍院さんを庇うように頭を下げた。
簡単に認めてもらおうなんて思わないけど自分の精一杯の気持ちを伝えた。
「上紗ちゃん……君って人は……」
すると向こうから声が。
私達が騒いでいたからお店の人が警察を呼んだらしい。
た、大変こんなところで騒ぎになる訳にはいかない!!
「あ、葵さんも黒江お兄ちゃんも早く。逃げなくちゃあ!!」
私は、鬼龍院さんの腕を掴み慌ててお店の外に出た。
離れた場所まで全力で逃げると荒い息を整える。
こ、ここまで来れば大丈夫だろう……。
すると一緒に走っていた黒江お兄ちゃんは、私の方を見た。
「分かったよ……君がどれだけ
旦那さんの事を大切に想っているか。俺の負けだよ……」
「黒江お兄ちゃん……」
「でも、だからと言って彼女を泣かせたら絶対に許さない。それだけは、覚えていろ!」
黒江お兄ちゃんは、私達を許してくれた。
そして鬼龍院さんに告げた。
それを聞いた鬼龍院さんは、クスッと笑った。
「えぇ……肝に命じておきます。彼女は、必ず俺が大切に守ります」
「ふん……どうだか」
まだ不満そうに言う黒江お兄ちゃんだったが静かに微笑んでいた。
素直ではないけど、きっとこれから上手くやっていけるだろうと感じたのだった。