私は、ニコッと笑顔でフォローする。
何だか立場が逆転しているような気がするが……?
 これだと誰が仕切っているのか分からない。

すると鬼龍院さんは、少し戸惑いながらもふわっと柔らかい笑顔を見せてきた。
 「う、うん」と言いながら……。

 スギューン!!と恋の弓矢どころか、拳銃で心臓を撃ち抜かれたような衝撃を受けた。
 鼻血が出るかと思うぐらい可憐だった。
何ですか!?その笑顔……あなたは、天使ですか!?
 もしかしてお父様が言っていた極道の天使って、こういうことなの?

 私は、心臓のドキドキしていると鬼龍院さんは、ハッと思ったのか必死に隠そうとしていた。
 頬をほんのりと赤く染めながら……。
いや、遅いと思いますよ?今さらながら。

 でも気を取り直してコインロッカーに荷物を預けると移動しようとする。
 私もついて行くが、チラッと横を見ると鬼龍院さんは、真剣にパンフレットを見ていた。

 あれは、間違いではなかった。ということは、あれが彼の素顔……?
 最初のクールな感じと違い今は、普通の青年に見えてきた。
 怖くない……むしろ親しみやすい。

「あ、あれに乗らないか?
人気キャラが出てくる乗り物らしい」

えっ……?
 鬼龍院さんの言った方向を見ると、何ともメルヘンなトロッコ列車の乗り物だった。
 可愛いけど……さすがに、この年で乗るのは恥ずかし過ぎるわね。他には……。

 するとあるモノに気づいた。これだ!
これなら、鬼龍院さんの本心が分かるかも。

「鬼龍院さん。アレにしませんか?」

 私が指を指した方向にあるモノは、怖いと評判のお化け屋敷だった。
 自分は、意外と怖いのや絶叫マシンとか平気だ。
人は、恐怖を味わうと本心が出たりする。
 それなら、きっと鬼龍院さんの本心が見えるはずだ。

「オバケは……ちょっと……」

「大丈夫ですよ。私怖いの平気だし
人気らしいですから……行きましょう!」

やや強引に誘い込んだ。いつの間にか私が仕切っていた。
 無理やり鬼龍院さんをお化け屋敷に押し込めると中に入っていく。