「まぁ、坂下君の気持ちにそろそろ気づいてもいいんじゃない?
それに……鬼龍院さんとの関係もいい頃合いだわ。
さっさと済ませなさいよ!」
坂下君の気持ち……それに鬼龍院さんとの関係か。
驚きもしたが、それが事実なら私は、けじめをつけないといけない。
中途半端にするのはダメだ。坂下君に対してもだ。
そして放課後になると私は、坂下君を校舎裏に呼び出した。
気持ちを聞くため……そして断るためだ。
「何だよ……話って」
「急に呼び出してごめんね。
奈緒……入谷先生に聞いて。あの勘違いだったらごめんなさい。
もしかして……坂下君って私のことが好きなの?」
自分から言うのも変な話だが、もしそうならこのままにさせる訳にはいかない。
すると坂下君は、驚いた表情をする。
だが頬を染めて目線を逸らしてきた……。
「ま、マジかよ……入谷先生のやつ……」
意識すると確かに坂下君の表情でその気持ちが伝わってきた。
あぁ……本当だったのね。
しかし、その気持ちに応えることは出来ない。
自分の気持ちは、特に決まっているから……。
私は、真剣に坂下君を見る。
「坂下君の気持ちは嬉しいわ。でも付き合えない。
私は、鬼龍院さんが好きだから」
彼は、大切な生徒だ。
だがあくまでも生徒と教師としてだ。
それ以上の気持ちはない……。
罪悪感の気持ちで居ると坂下君は、ため息を吐きながら頭をかきだした。
「……知ってるよ!それぐらい。
だから俺は、反対していたんだ。
アイツは、危ない奴だからって……渡したくないから」
「坂下君。何度も言うけど……鬼龍院さんは、本当にいい人よ?
私の気持ちを大事にしてくれるし……」
「そんなの知らねぇーよ!!
あんなのより俺の方が好きに決まっているし」
坂下君……。怒った口調で言ってきた。
しかし、すぐに頭をぐしゃぐしゃにかくと背中を向けた。
嬉しいが、どうしたら分かってくれるだろうか。
彼の気持ちを考えると複雑な気持ちになった。