「母さん、大丈夫だから。
伊崎組は、すでに解散させたし、警察も動いているから……」
「あら……そう?それなら仕方がないわね。
残念だわ。私が仇を取りたかったけど」
残念そうに小刀を着物の中にしまう。
私は、それを見て身体が震えた。こ、怖い……。
かなりぶっ飛んだ性格をしていた。
もし怒らせたりしたら命がないかもしれない。
特に鬼龍院さん関係のことに対しては……。
するとお母様は、私に気づいた。
「あら。見ない顔ね?どなただったかしら?」
ひぃぃっ!?気づかれてしまった……。
身体がビクッと反応してしまった。
「母さん。この人だよ……椎名上紗さん。
僕の婚約者になる人って話していた人」
「まぁ……あなたが!?」
は、はい。その婚約者です!
あまりの恐怖で言葉が出て来なかった。ひぃぃっ……怖いよ!
ガタガタと震えていると鬼龍院さんのお母様は、ジロジロと私を見てきた。
美人だけど顔は、似ていないからお父様似なのかしら?
しかし鋭い目付きで、いかにも極道の妻と言った感じだ。
圧倒的な存在感に緊張してしまう。
こ、怖いです……鬼龍院さんのお母様!!
「写真と話は、葵ちゃんから聞いて知っているけど確かに綺麗な子よね。
葵ちゃんが、どうしてもと言うから私は、何も言わなかったけど……本当に大丈夫なのかしら?
鬼龍院組の妻として」
明らかに疑われているし心配もされていた。
確かに極道の妻として大丈夫なのかは不安がある。
私なんかが出来るのかどうかなんて分からない。
「母さん。その心配はいらないよ。
上紗さんは、芯が強くてカッコいいんだ。
僕も何度も助けてくれて……僕には、勿体ない人なんだ」
鬼龍院さんは、そう言ってフォローしてくれた。
頬を染めながら嬉しそうに微笑みながら
か、可愛い……。
「まぁ葵ちゃんがそう言うのなら間違いないわね。
もう、なんて可愛いんでしょ……葵ちゃんは」