「だから鬼龍院さんには、手を出さないで下さいってば!!
あの人は、私の婚約者なんですから」

「俺は、別に相手が既婚だろうかパートナーが居ようが気にしないけど」

「気にしなさいよ!!」

 思わずそうツッコむと大河内幸也は、笑った。
何だかからかわれた気分だ。
 やっぱり何を考えているのか分からない。
掴めない男だと思った……。

 車のところで揉めている間に目的地だと思われる病院に着いた。
 都内の大病院なら簡単に見つけられたかもしれない。

 車を駐車場に停めると私は、急いで病院の中に入って行く。
 受付で病室を聞こうとしたが家族以外は、面会拒絶だと断られた。何度聞いても
 「すみませんが……それには、お答えできません」と言われてしまう。

「な、なぜですか!?
私は、婚約者なので答えても別に……」

「おい。こっちだ!案内してやる」

 受付で揉めていると大河内幸也が声をかけてきた。
くっ……頼りたくないのに。
 仕方がなく私は、彼にまたついていく。

「受付に言っても無駄だぜ?
 相手が相手だから警戒されて隠し通される。
噂も広められないようにしてな」

 そんな……。しかも彼は、そこまで詳しく知っていることに、なおさら複雑な気持ちになっていた。
 情報屋だから当然なのかもしれないが……。

 エレベーターから降りると私は、鬼龍院さんの居る病室に入って行く。
 外には、部下達が立っていたので、思ったより見つけやすかった。しかも特別室だとか。

「鬼龍院さん!!」

 ドアを思いっきり開けると居た。
右腕に包帯をしていたが確かに無事だった。
 良かった……生きてる!!