「おい、奏都。この子を病院まで案内するから
先にホテルに行っておいてくれ」と言ってきた。

 えっ?道案内をしてくれるの?
意外な申し出に驚いてしまった。
 いや、でもイケメン君が居るし、何よりライバルに案内してもらうのも……。

「えっ~本当に戻ってきてくれるんですか!?
幸也様。その子と寝るとか無しですからね?」

「分かっているって。いい子で待ってな?」

そう言うと大河内幸也は、イケメン君に熱いキスをした。
 イケメン君は、頬を染めながら頷くと大人しく行ってしまった。
 は、初めて見てしまった……男性同士のキス。

なんて刺激的な光景だろうか。
 そんな趣味はないのだが、実物で見ると何だかドキドキしてしまった。
 鬼龍院さんとではないのが幸いだ。

「あの……別に教えていただければ1人で行けます」

 誘拐までしてきた大河内幸也に道案内されるのは、複雑な気持ちだ。それに信用出来ない。
 すると彼は、私を見るなりクスッと笑ってきた。

「ダメだ。俺に情報をもらうには、高くつくぜ?
 それに俺もお見舞いに行きたかったし丁度いい。
ほら、行くぞ」

 そう言い勝手に歩き出した。
あ、待って。置いて行かないでよ!!
 私は、慌てて彼の後ろを追いかけた。

 結局連れて行ってもらうことに。
近くに停めてあった赤い高級車に乗り込む。
運転は、彼がするらしくシートベルトをつけるとエンジンをかけた。

 助手席に座るとチラッと横顔を見る。
鬼龍院さんに劣らない綺麗な顔立ちをしている。
 しかし何を考えているのかまったく読めないでいた。
彼は、組の若頭で情報屋だから代償がいると鬼龍院さんが言っていたけど……お見舞いのついでって?

「あの……どうして私と一緒にお見舞いに?
別に1人でも行けばいいのに……」

 それは、それで嫌だけど……。
鬼龍院さんには、近づかないでほしい。
 すると彼は、運転をしながらチラッとこちらを見た。