「別に仕事帰りに寄っただけです。
あなたこそ……また違う男性を連れているんですね?」

ムカつくので嫌味っぽく言ってみた。
 周りにイケメン男性が居るのなら鬼龍院さんには、手を出さないでほしい。
しかし大河内幸也は、クスッと笑ってきた。

「あぁ……俺は、特定の相手を作らない主義なんでね。
 それより会社帰りって……病院に行かなくてもいいのか?」

 えっ?病院って……どういうこと?
大河内幸也の言葉に一瞬ドキッとした。

「もしかして知らないのか?
アイツ……鬼龍院が部下を庇って腕を撃たれたこと」

「えっ?嘘っ……私そんなこと知らない!!
 ちょっと嘘なんて言わないで!!
鬼龍院さんが怪我をしたなんて……そんな……」

 えっ?そんなこと知らない……鬼龍院さんが!?
ショックや怒りで大河内幸也を掴みかかった。
 信じたくなかった……。
待っててと言われているし鬼龍院さんに限ってある訳がない。

「落ち着けって……別に命に別状はない。
 右腕のだって大した怪我ではないみたいだし、すぐに退院出来るみたいだぜ?」

 そ、そうなんだ……。
それを聞いてホッと胸を撫で下ろした。
 良かった……命に別状ないなら……。

「あ、お見舞いに行かなくちゃあ!!」

 だったらお見舞いに行かないといけない。
大変……プレゼントとか、この人と話している場合ではないわ!
 私は、慌てて行こうとした。

「あ、おい。待て。お前知っているのか?
鬼龍院が何処で入院しているのか?」

 そういえば知らない。でもあちらこちらに電話して聞いたりすれば……。
 退院まで待っていることなんて出来ない。
早く会って安心したい。

 ジッとしておられず思わず動揺する。
すると大河内幸也は、ハァッとため息を吐いた。
 そして連れていたイケメン男性に……。