あ、そういうことだったのね。
あー良かった……。一瞬悪い意味で取ってしまったわ。
 私は、ホッと胸を撫で下ろした。
あれ?でもいつまで……?少しだけよね?

「それって、いつまでですか?」

「1ヶ月ぐらい。伊崎組だけなら早く片付けられる。
 しかし、どうやら海外の連中とも薬を取り引きしていたみたいでね。
 それもろとも潰すつもりだから思ったより時間がかかるかもしれない」

1ヶ月ぐらいか……。早いようで思ったより遅い。
 1ヶ月も会えないのかと思ったら何だが、寂しく思えてしまった。それに何かあるか分からない。
 不安で押し潰されそうになる。

 しゅんと落ち込んでいるといつの間にか鬼龍院さんは、私のところに来て抱き締めてくれた。
 鬼龍院さ……ん!?

「なるべく早く片付けるから待っててほしい。
 もし……無事に片付けられたらその時は、俺と正式に婚約してほしい」

えっ……?
 まさか鬼龍院さんから婚約を申し込まれてしまった。
心臓がドキドキと高鳴ってしまう。
 鬼龍院さんは、頬を染めながら私を見てきた。

「ヤクザだから抵抗もあるかもしれない。
 命を狙われることもある。だけど……それでも上紗さんのそばに居たい。
 僕にチャンスが欲しい。君が受け入れてくれるなら、この戦いも勝てる自信になる」

 目は、真剣なものだった。
鬼龍院さんにとってそれほどの決断なのだろう。私は……。

 最初は、ヤクザと聞いて抵抗していたけど鬼龍院さんに出会って考え方が変わった。
 誰よりも強いはずなのに……どこか危なっかしくて放っておけない人。
何よりあなたと一緒に居たいと思った。
 その気持ちに嘘はなく、私の気持ちは、すでに決まっていた。

「……勝って下さい。そうしたら一緒にウェディングの計画を立てましょう」

 あなたを支えられるのは私だけ。
そして幸せに出来るのも私だけだと信じたい。
 だからプロポーズを受け入れた。