それから何日か過ぎた頃。
鬼龍院さんから連絡があった。今度の日曜日に会うことになった。
場所は、教えてくれなかったが、時間とラフな格好でいいと言われた。ラフな格好……?
私は、てっきり高級レストランや高級なお店で買い物でもするのかと思っていた。
そもそもヤクザの人って普段どんなお店に行くのかしら?
私は、首を傾げながらクローゼットから服を眺めていた。
何を着ていけばいいのかしら?ラフと言ってもイメージがあるし……。
結局。散々悩んだが無難なラベンダー色のハートネックニットと白いパンツ。
そしてベージュのトレンチコートにした。
これならアクセとかしてお洒落で大人っぽく見えるだろう。
ただし高級レストランだと場違いだろうけど……。
一体何処に連れて行ってくれるのだろうか?
そして運命の日曜日。
私は、自宅の前で迎えに来るのを待っていた。
何だか緊張してしまう。
しばらく待っているとあの黒い高級車が現れた。
怖そうな護衛の人が降りてきてドアを開けてくれる。
私は、恐る恐る後部座席の方に乗り込むと鬼龍院さんが優雅に待っていた。うわぁ~私服だ!!
鬼龍院さんは、グレーのインナーと黒のVネックセーターに黒のジーンズ。そしてシルバーのネックレス。
とてもお洒落で素敵なのだが、ヤクザの若頭とは思えないぐらいのラフな雰囲気だった。
もちろんスーツも似合っていて素敵なのだが、こちらの方がドストライクだ。カッコいい……。
「おはよう。今日は、デートすることに許可してくれてありがとう」
「あ、おはようございます。
こちらこそ……あの……よろしくお願いします」
私と違い優雅に笑う鬼龍院さんだった。
どうしよう。緊張し過ぎてカミカミだ。
高級車は、慣れているがヤクザで、こんなイケメンの人と乗ったことがない。
そのため心臓がドキドキと高鳴ってしまう。
……うん?すると鬼龍院さんの横に黒いコートと一緒に
置いてある大きめのカバンが見えた。
あれは、何だろうか?
よく分からずに首を傾げた。
聞いてみたい。だがもし変なのだったら怖いし……。
「どうかした?」
「あ、いえ……何も」