平等に与えられている時間。
その決められた時間の中で、貴方の傍に長くいられるように。



今日も相変わらず、彼は暇を持て余していた。午後からなんて食事を取って以降ここにきてずっとぼんやりしている。

「花羽は学校、となれば俺は単なる暇人なわけだ」

ナレーションの様にひとり呟くと、さわさわと公園の木々が風に揺れてその声を何処かに飛ばしてしまった。
仕事はとり合えず順調で、そのおかげもあってかこうやって休みが貰えるわけだけれど。
去年まではこんなにも余裕のありすぎる環境はなく、まさに地獄絵図だったことを少しばかり思い出した。

膝に肘を置いて気だるそうに、頬杖をつき子どもたちの様子をみやる。
もう五時になろうかというのに子どもたちは帰る気配がない。未だに、走り回るか数人でゲームの通信をやっている。

「(元気だねー、ホント)」

公園のベンチではしゃぎまわる子どもたちの様子を見ていた彼は、突然影ができたことに驚いた。
いつの間にか沈んでいた顔を上げると、そこには花羽が立っていて、息を切らし大きく肩を上下させながら、彼女は笑っていた。

「どうした? 息なんて切らして」

彼は優しく微笑んで、首をかしげた。間抜けな顔でずっと居るわけにはいかない。
それに、息まで切らして……用事でもあったんだろうかと心配になる。
そんな彼の仕種にか、嬉しそうに、恥ずかしそうに、呼吸を整えながらも彼女はやっぱり笑う。ほっとしたような、嬉しそうな表情で。

「えへへ、走って帰ってきちゃいました、朋樹……さん、に会いたくて」



【いちばんにきみにあいたいよ】
08'06'16/
10'03'24加筆 再:11'07'18