「……なっ……南風……」


「返事は急がないから」


 やっと声を出すことができたとき。
 南風の言葉が重なった。


「じゃあ、俺、そろそろ教室戻るから」


 普段口数が少ない南風は。
 こういうときも、やっぱり言葉は少なく。
 そのまま教室へ向かって歩き出している。


 教室に戻る、って。

 私と南風は同じクラス。
 だから教室内でも顔を合わせることになる。

 それに今は昼休み。
 これから午後の授業もある。


 ……なんだか。
 気まずい……。



 というかっ‼

 南風もなのっ⁉


 これは。
 偶然なのか。

 それはわからない。


 だけど。
 こんなにも続くと……。


 私は。
 三日連続で。
 ……告げられている……想いを……。

 相手は。
 全員、晴海三兄弟から。

 一昨日は太鳳くんから。
『もう妹のように見ることはできない』と言われ。
 そのあと『好き』と打ち明けられた。

 昨日は雅陽から。
『もう俺のこと、弟のように見ないで。
 一人の男として見て』と言われ。
 そのあと『好き』と打ち明けられた。

 そして。
 今日は南風から。


 晴海三兄弟は。
 私にとって幼なじみでもあり友達でもあり兄弟でもあり。
 そんな存在。

 そして。
 晴海三兄弟も。
 私と同じことを思っている。
 と、勝手に思っていた。


 だから。
 突然、晴海三兄弟から想いを告げられて。
 かなり驚いている。


 南風と同じく。
 太鳳くんも雅陽も『返事は急がない』と言っていた。


 晴海三兄弟それぞれから想いを告げられて。
 そのことを。
 晴海三兄弟それぞれに伝えていない。

 というより。
 伝えることなんてできないっ。
 できるわけがないっ‼



 あぁぁ~~~。

 どうしよう、私。