「あれっ、晴海と月島」


 クラスメートの村瀬くんが教室に入ってきた。


 ……間一髪。

 村瀬くんが教室に入ってくる直前。

 私と南風は……。
 唇と唇が……重なり合う寸前、だった。


 私と南風は村瀬くんが教室に入ってくる前になんとか離れていた。


「晴海と月島も忘れ物を取りに来たのか」


「まぁな」


 冷静に返答する南風。


 そんな南風とは正反対で。
 私の心の中はドキドキで忙しくなっている。


 そのドキドキは。
 しばらく治まることはなかった。