南風が女の子から突然、告白されて。
 そのことに驚き過ぎ。
 思わず声が出てしまった。

 と同時に。
 身体も動いて。
 そのため教壇が動いて音を立ててしまい……。


「えっ⁉」


 教壇から聞こえた私の声と教壇が動いた音。
 それらに女の子が驚き、声を出した。


 そうだよね。
 南風と女の子は自分たち以外、誰もいないと思っているのに。
 いきなり教壇から声と教壇が動いた音が聞こえてきたら……。



 ……‼


 まっ……まずいっ‼


 足音が。
 教壇に向かって近づいて来ている。


 その音が大きくなるにつれて。
 胸の鼓動も、さらに激しさを増していく。

 極度の緊張のせいで。
 変な汗も出てくる。



 近づいてくる。
 その気配が。

 はっきりとわかる。
 教壇の中からでも。


 どうしよう。
 やっぱり自分から姿を見せる方がいいのかな。


 どちらにしても。
 隠れていることはバレている。

 だから、いつまでもこうしていても意味がない。



 …………。

 仕方がない。
 こうなってしまっては。


 覚悟。
 決めるしかない。

 教壇の中から出て。
 姿を見せよう。
 自分から。


「やっぱり。
 彩音の声だった」


 ……‼


 そう決意した、そのとき。
 南風に教壇の中を覗き込まれてしまった。


 ……一足、遅かった。