「ごめんね、晴海くん。
 時間を作ってもらって」


 やっぱり。
 南風と女の子は教室に入ってきた。


 どうか。
 南風たちに気付かれませんように。



 今、私が隠れているところ。

 それは教壇の中。


 どこに隠れようか必死に考えた結果、そこになった。


 とにかく。
 気配を消して……。


 そうしなければいけない。
 それなのに。
 心の中と胸の鼓動は。
 その気持ちとは正反対の動きをしている。

 心の中は、パニックの嵐が吹き荒れていて。
 胸の鼓動は激しくなる一方。


 どうしよう。
 このままでは、ここに隠れていることが南風たちにバレてしまう。

 それは、なんとしてでも回避しなければならない。



「あのね、晴海くん」


 心の中と胸の鼓動。
 それらと闘っていると。
 再び女の子の声が聞こえてきた。


 教壇の中に隠れているため、南風と女の子の間で何が行われているのか全くわからない。

 話のやりとりで把握するしかない。

 とはいっても。
 話しているのは女の子だけだから把握のしようがないのだけど。



 って。

 そもそも何で把握しなければならないのか。

 そうだ、そうだよね。
 何で私……。



「単刀直入に言うけど……」


 あっ、再び女の子が話し始めた。


「……晴海くんのこと……好き……なの」


「えぇっ⁉」


 ……‼


 しっ……しまったぁぁ‼