恥かしさが残ったまま、太鳳くんの部屋に戻る。


「太鳳くんが着替えを貸してくれたおかげで冷えなくて済んだよ。
 本当にありがとう」


 部屋に入ってすぐ太鳳くんにそう言った。


「…………」


 のだけど。


 ……?

 太鳳くん?


 太鳳くんが黙ったまま、私の方を見ている。

 そんな太鳳くんの表情は。
 驚いている、というのか。
 なんて表現したらいいのかわからない表情になっている。


「太鳳くん……?」


「……しまった……」


 え……?


「濡れた制服を着たままだと心配だから
 着替えを渡したけど……」


 けど……?


「……これはこれで……やばい……」


 ……?


「『やばい』って……?」


 何が……?


「……格好……」


「格好……?」


「……彩音の……」


「え……」


 私の、格好……?