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 ――昼休み。昼食を済ませた俺は,保健室を訪れていた。別にどこか具合が悪いわけじゃないし,ケガしているわけでもない。
 瑠花の病気のことを,保健医の村田久実(くみ)先生も知っているらしいので,彼女に瑠花のことを相談したかったのだ。
「森嶋さんの病気? ええ,本人から話は聞いてますよ」
 俺より少し年上らしい村田先生は,俺の前にお茶の湯()みを置きながら,特別驚いた様子もなく頷いた。
「やっぱりご存じだったんですね。じゃあ,彼女が余命半年だってこともご存じなんですか?」
「……ええ。それには私も,さすがに驚きましたね」
 彼女もショックが大きいようだった。教職員をやっていて,教え子から余命宣告をされる経験自体,(まれ)だろう。
「実は今朝,(ぼく)も森嶋本人から聞いたんです,その話。……ショックでしたけど,彼女はもう覚悟を決めてるようで。セカンドオピニオンも再検査も受けるつもりはないって」