彼とふたりで流星群を見た。
「暁さんのことは、なんて祈ったらいいの? 僕も祈るから」
そう言われて、最初は暁が消えませんようにと言おうとした。
でも、それは私のエゴだ。
暁はこの世界にいても恋人をつくることもできないし、もちろん結婚もできない。
「暁が幸せでありますようにって」
「わかった」
彼はにっこりと頷いて星を見上げる。
「ずっと。私たち、大学生の時からずっと、この5年間一緒だったの」
「うん」
「暁は……。私の兄が事業に失敗して家も土地も無くなって、母が心労で倒れて、兄が精神的に病んでしまって、その後祖父が亡くなって、私が大変だった時、ずっと一緒にいてくれたの。
大丈夫だよ、テイちゃん。無理して笑わなくっていいんだよ。あたしの前では思いっきり泣いてよと、一緒に泣いてくれたの」
涙で見えなくなる流星を見つめながら、私は祈った。
彼に肩を抱かれながら、暁の幸せを。
「暁は親友だから……」
次の日、額に何かが触れた感触で私は目覚めた。
薄っすらと開けた瞳に映ったのは彼の微笑み。
「おはよう」
夕べ、私たちは結ばれた。
流星群をひとりで見る勇気はなかったし、泊ってほしいと彼を誘ったのは私。
自分の全てを彼に捧げることに、なんの迷いもなかった。
寂しさよりも幸せに包まれた朝を迎えることができたのは、彼のおかげ。
『好きだ。はじめて君を見た時からずっと』
――私も彼を、心から愛してる。
シャワーを浴びて朝食を食べたあと、彼はローボードの上に置いた暁からのハガキを手に取った。
「どうかした?」