「そういえばね、そろそろ流星群が来るんだって」

「りゅうせいぐん?」

「あ、あれよ。よばい星。前に教えてくれたでしょ。"よばひ星、すこしをかし"」

「ああ」と暁は大きく頷く。
「尻尾つきの星ね」

流れ星のことは、枕の草子の中で、"星はすばる"に続く言葉の中に"よばひ星"として出てくる。

『よばひ星、すこしをかし。尾だに なからましかば、まいて』
流れ星もいいけれど、尾を引かなければもっといいのにというような意味だろう。
暁いわく、薄くなって消えていくなら綺麗なのに、尾を引く様子が派手過ぎて趣に欠けるのだそうだ。

「流れる星が沢山空に現れるの。その星が消えるまでに三回願い事を唱えることができれば、願いが叶うって言われているんだよ」

「へぇー、願いごと?」

「そう、願い事。今回現れる流星はよく見えるらしいの。一緒に流星を見て、願い事を唱えようね」

その時、暁はうんと答えたような気がしたけれど、どうだっただろう……。