さすが暁。執念で本人に辿り着いている。
この写真を見せつけられては、私もさすがに黙ってはいられない。

「暁、この人にすごく似ている人、最近うちに来るよ」

「えっ! なに、どういうこと?」

「初めて現れたのが三日前。朝お店の前に立っていて、モーニングを食べて帰った。昨日と一昨日は四時ごろ現れてコーヒーを飲んでいったよ」

「そうなの!?」

「あ、そうそう、昨日は暁からもらったブドウを添えたアイスクリームも食べた」

零れるほど目を開けて、ゴクリと音が聞こえそうなくらい喉を揺らした暁は、突然ポロポロと涙をこぼしはじめた。

「えっ、暁? どうしたの?」

「やはり、この時代に……」

暁は彼が一条帝の生まれ変わりだと信じている。
私がテイシさまの生まれ変わりだと信じているように。

そんなはずはないじゃないと思いながら、信じて疑わず涙する暁についつられてしまう。

もし、暁の言うとおりだとしたら。
――彼は本当に一条帝の生まれ変わりだったら。

さめざめと暁の背中を撫でティッシュを渡したりしているうちに、なんだかドキドキと胸が高鳴ってくる。


 ***


赤い目をした暁が仕事に向かっても、残された私はおかしな思いに捕らわれた。
そんなことがあるはずはないのに。

確かに彼は高貴な空気をまとっているような気もするけれど。

「サダちゃーん。コーヒーお替り」