「まさか。ただなんとなく」

暁はレタスをムシャムシャと頬張って落ち着くと、ギロリと私を睨んだ。

「その1。あたしは陰陽師さまに、またテイシさまに会いたいって頼んだから」
「でも、会えるかどうかはわからないって言われたんでしょう?」

暁はそれには答えず、話を続ける。

「その2。お顔と境遇が似ている。テイちゃんの家はもともと名家である」
「まぁ、昔はね」
我が家は、曽祖父の時代までそれなりの名家だったらしい。

「テイちゃんのお爺様は、弟さんとの戦いに敗れた」
「うん。まぁそうみたいだけど」

曽祖父が建てた大きな邸は、小説家や画家などが集まるサロンとして有名だったらしいが、そのあとを継いだ祖父の代には暁が言ったとおり一族間の争いで邸を手放したという。

「テイシさまのお父さまも病に倒れて、弟の道長さまに地位を強奪されたんだから。そんなところまでそっくりなわけよ」

私の父は事業を立て直そうと苦労の末、過労で若くして亡くなってしまった。それは私が高校二年生の時だ。

暁の言うように少しは似ているかもしれないが、でも同じような境遇の人は他にもいるだろう。

「で? それだけ?」

「その3。ここ重要、性格が似ている」