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「眞田、帰ろ」
「うん」
毎週火曜、一緒に教室を出ることが多いからか、二人で教室を出ても周りに声をかけられることはなく。後期図書委員の座を逃さなかった過去の俺、本当によくやったと褒めたい。
ぽつぽつ何でもないことを話しながら、最寄駅に向かう途中の公園に寄る。小学生がサッカーをして遊んでいる邪魔しないように、遊具や木の奥にあるベンチに座った。
「寒いのに悪い」
「ううん。私も、話したいことあったから」
想定外の眞田の言葉に、口がとまった。自分が話すことしか考えていなかったから、先に言えばいいのか聞けばいいのか。
「先に話しても、いいかな。ごめんね、井口から声かけてくれたのに」
「いや、大丈夫。どうした」
白い息を吐く眞田と目を合わせて、先を促す。小さく息をのみ込んで、あの、と話し始めた姿をずっと見ていたいと思った。
「ちゃんと考えた。井口が言ってくれたこと。これまで通りでいいって言ってくれたのに、これまで通りにできなくてごめんね。
井口はずっと、誰よりも私を大事にしてくれてた。友達にも、悩んでる私を心配してくれてたって聞いた。私のこと、大切にしてくれてありがとう」
「うん」
「もう私に気持ちはないかもしれない。それでも、私も井口を大切にしたいって思ってる。
井口にああやって言われたから?井口に仲のいい女の子ができてとられたくないってなったから?この気持ちを恋愛感情だと思っていいのか、わからなくなっちゃったの。
でも、友達だと思ってた時とは違う。私が井口を大事にしたいし、私に笑いかけてほしい。そう思うから」
「眞田、帰ろ」
「うん」
毎週火曜、一緒に教室を出ることが多いからか、二人で教室を出ても周りに声をかけられることはなく。後期図書委員の座を逃さなかった過去の俺、本当によくやったと褒めたい。
ぽつぽつ何でもないことを話しながら、最寄駅に向かう途中の公園に寄る。小学生がサッカーをして遊んでいる邪魔しないように、遊具や木の奥にあるベンチに座った。
「寒いのに悪い」
「ううん。私も、話したいことあったから」
想定外の眞田の言葉に、口がとまった。自分が話すことしか考えていなかったから、先に言えばいいのか聞けばいいのか。
「先に話しても、いいかな。ごめんね、井口から声かけてくれたのに」
「いや、大丈夫。どうした」
白い息を吐く眞田と目を合わせて、先を促す。小さく息をのみ込んで、あの、と話し始めた姿をずっと見ていたいと思った。
「ちゃんと考えた。井口が言ってくれたこと。これまで通りでいいって言ってくれたのに、これまで通りにできなくてごめんね。
井口はずっと、誰よりも私を大事にしてくれてた。友達にも、悩んでる私を心配してくれてたって聞いた。私のこと、大切にしてくれてありがとう」
「うん」
「もう私に気持ちはないかもしれない。それでも、私も井口を大切にしたいって思ってる。
井口にああやって言われたから?井口に仲のいい女の子ができてとられたくないってなったから?この気持ちを恋愛感情だと思っていいのか、わからなくなっちゃったの。
でも、友達だと思ってた時とは違う。私が井口を大事にしたいし、私に笑いかけてほしい。そう思うから」