「……ふっ、真っ赤」
「だって!」


井口の色気がやばすぎて頭爆発しそう、と涙目で見上げてきて質が悪い。

今日はここまでと落ち着かせるように頭を撫でて、身体を離す。熱を失っていくようで、一度温かさを知った分、余計に寒く感じた。


「これからよろしく」
「こちらこそ」


離れた体温を惜しむように、手のひらを重ねて歩き出す。どこか気恥ずかしさの漂う空気のなか言葉を交わして、また明日と手を離した。

これからうまくいくことばかりじゃないかもしれない。そういうときはまた、今日みたいに素直に、背伸びせず真っすぐ話をしようと思う。

いつでも眞田が笑っていられるように。責任取るから、責任取ってよ。





ため息に、恋



ため息をつく姿に恋をして、ため息の原因になりたいと思った

健気な俺なんて知らなくていいよ

ただ真っすぐ、俺のことを考えていてほしい




明日も明後日も、大事にするって誓うから









fin.