今日は、七月二七日すなわち約束の日だ。オワーズの麦畑にキャンパスや絵具を置いて、側にジャック(偽者の僕)を座らせ、あたかも居眠りをしているかのような姿勢をとらせた。

僕を含めた三人は茂みに隠れて少年たちが現れるのを待った。二時間ほど経過して、辺りに人がいないだろうかと慎重に歩いてくる少年が姿を現し、ジャック(偽者の僕)に近づいて至近距離で銃口を向け放った。バンッという大きな音を合図に、ふたりの少年は走り去っていった。ジャック(偽者の僕)の身体は、弾が貫通した衝撃でドサリと音を立てて横へと倒れた。

少年たちの足音が消え、他に人がいないのを確認した僕たちは、ジャック(偽者の僕)の身体とキャンパスと絵具のセットを抱え、急いで廃屋へと戻った。死亡推定時刻をずらすために暖炉であたためるためであった。

それから、二日後の二九日になった。アーサーは伝手の診療所にジャック(偽者の僕)の遺体を運び込んで死亡を確認した。しばらくして、弟のテオが駆けつけて確認しにきたという。テオは泣き崩れ、妻に支えられながら一度家に帰ったようだ。

アーサーは、たまたま観光に来て歩いていたら、人が横たわっていたので、伝手の診療所までどうにか運んだが、すでに死亡していたのだと説明したそうだ。アーサーと僕に、もともと接点などなかったので、警察に疑われることはないだろう。