でも、それでも仕方がないのだろうか?

そんなことを思い、うんざりしながらベッドに入ったあくる朝。

女官長が、悲鳴をあげた。

「なによ、朝から騒々しい」

「ミ、ミルフレーヌさま、か、髪」

「髪?」

手に取ってみると、見覚えのある赤髪が目に映る。

「あら、戻っちゃったのね」

それからはまた大騒ぎになった。
部屋の扉は固く閉じられ、呼ばれたのはマリィとシモンと侍従長。
皆が赤髪のミルフレーヌを見てため息をつく。

「ため息をつくな、うっとおしい」
「も、申し訳ございません……」
「リュシアンさまがお見えになるというのに、どうしましょう」

やれやれ。
こんなことがいつまで続くのやら。

「リュリュ? 来るなって言ったのに。どういうつもりだ。今朝早く、別荘に出かけたとでも言っておけ」

「……はい」

ミルフレーヌの憂鬱な日々はまだまだ続きそうだ。

--終--