マリィと手紙のやり取りをしていることはシモンにも言えない。
ロロを使ったやり取りのことは、あくまでもふたりだけの秘密だ。

「アーロン王子が疑っている。いつになく執拗に殿下に会わせろと言って聞かない。マリィさまとの結婚話を進めたいと」

「わかった。とりあえず王宮に行く。私の声はどうだ? 変わっていないであろう?」

シモンは頷いた。
「全くそのままだ」

「実はな、魔女がこの剣をくれたんだ。瑠璃の剣と言って勝手に相手を倒してくれる。おかげであの店や村の用心棒になれたんだが、近衛兵になれるよう取り計らえるか? 早く王都に行きたかったが、何しろ身分証がない。それで動けずにいた」

「問題ない。いつ出られる?」

「いつでもいい」

「わかった。明日また来る。馬はあるか?」
「ない」

それから少し話をして、シモンは帰って行った。

店に戻ると、リリィが今にも泣きそうな顔をして待っていた。
「どうなったの?」

「ああ、雇ってもらえそうだ。でも心配するな、さっきの男に相談したら、明日、私の代わりになる男を紹介してくれるらしい。まぁ実際会ってリリィが気に入ればの話だが」

「そうなの?それはうれしいけど……」

「戻ってくるよ。馬を手に入れる。馬さえあればここからだって王都へは通えるだろう」

「ほんと? よかった」