ついでなので、パン屑を利用したフライやら余り物の野菜やハムで作るお好み焼きやらを教えてみた。

リリィが作るソースにはいわゆるあの茶色いソースに似ているものがある。それをソースとして使えばバリエーションは広がるだろう。
マヨネーズさえあればタルタルソースも作れるのだから。

「想像もつかない! でも美味しそう! すごいわ、ミル! あなたの国の料理なの?」

「うーんと、どこだったか旅の途中でね」

一生懸命メモをしたリリィはとりあえず土鍋を保温して煮込むというところから始めることにしたらしい。
鍋を包む布はこれでいいかとかミルに聞きながら、試食用のスジ肉のシチュを作り始めた。

早速メニューに追加したベーコンと蒸し野菜には、マヨネーズを甘いものと辛いものの二種類を添えたもので、瞬く間に人気になった。

「ミルが教えてくれたのよ」

「へえー、姉ちゃんも料理なんかも出来るんかい」
「うるさいね。黙って食べろ」

「ったく口の悪い女だねぇ」

用心棒の仕事は夜が多い。
なので仕事がある時は、昼の間寝ていることが多いが、仕事が入っていない時はミルもエプロンをつけて店に出て配膳を手伝っているのだ。

ちょうど祖父が腰を痛めてしまったということもあり、この一週間はずっと手伝っている。

とはいえ愛想はない。
客もそれがわかっているので、からかってくる。

「にこにこしてりゃ、ちっとは美人に見えるだろうによぉ」