聞けば、リリィには料理を教えてくれる師匠がいたわけではなかった。
早くに両親を亡くし祖母から教えてもらった料理を元に安い食材でメニューを考えている。
料理のセンスがあるのだろう。リリィが作るとありきたりの食材が見た目も美しく、味も見事に生まれ変わる。
このあたりでは肉と言えば焼いて食べるか干し肉にすることが主流なで、安いスジ肉を煮込み料理しようと思いついたらしい。
リリィが作るスジ肉のシチュは、香草で臭みを取ってあるし味は美味しいが、ナイフで切らないと食べられないし、それでもやっぱり固い。
味が美味しいだけにミルにはそれがちょっと残念だと思っていた。
それに王宮で出されていた贅沢な料理とはいわないまでも、フォークだけでほぐれるような、あの柔らかい肉を食べたい。
「じゃあさ、リリィは鉄の鍋を使っているけど、煮込み料理なら土鍋のほうが合っていると思うよ。沸騰させたあと火からおろして、毛布でくるんでいけば柔らかくなると思う」
「え? そうなの?」
「うん。今から仕込めば昼には柔らかくなっているんじゃないかな」
「ありがとう!ミル、早速やってみるわね」
ミルは王女だ。
王宮で料理をすることなどもちろんないし調理場にも行ったことすらない。
リリィに教えたそれは前世での記憶である。
母が煮込み料理を作る時に、ガス代の節約だとか言いながらよくそんなことをしていたのだ。
早くに両親を亡くし祖母から教えてもらった料理を元に安い食材でメニューを考えている。
料理のセンスがあるのだろう。リリィが作るとありきたりの食材が見た目も美しく、味も見事に生まれ変わる。
このあたりでは肉と言えば焼いて食べるか干し肉にすることが主流なで、安いスジ肉を煮込み料理しようと思いついたらしい。
リリィが作るスジ肉のシチュは、香草で臭みを取ってあるし味は美味しいが、ナイフで切らないと食べられないし、それでもやっぱり固い。
味が美味しいだけにミルにはそれがちょっと残念だと思っていた。
それに王宮で出されていた贅沢な料理とはいわないまでも、フォークだけでほぐれるような、あの柔らかい肉を食べたい。
「じゃあさ、リリィは鉄の鍋を使っているけど、煮込み料理なら土鍋のほうが合っていると思うよ。沸騰させたあと火からおろして、毛布でくるんでいけば柔らかくなると思う」
「え? そうなの?」
「うん。今から仕込めば昼には柔らかくなっているんじゃないかな」
「ありがとう!ミル、早速やってみるわね」
ミルは王女だ。
王宮で料理をすることなどもちろんないし調理場にも行ったことすらない。
リリィに教えたそれは前世での記憶である。
母が煮込み料理を作る時に、ガス代の節約だとか言いながらよくそんなことをしていたのだ。