リリィの店に住み続けて二週間が経った。
用心棒の出番はそうそうないだろうと思っていたが、リリィの店にはなくても他の店から呼ばれたり、村の長からもあらためて村の警護を頼まれたりして、少しではあるが礼金をもらう機会もできた。
今後どうするか、特にはっきりとした目標があるわけじゃない。
このままずっとここにいることが正解ではないとは思うが、とりあえずここは王都にもそう遠くないので、身分証と馬を手に入れるまでは、ここに置かせてもらおうと思っていた。
ただ心配ごともある。
――マリィ。
心優しく姉思いのマリィはどれほど心配しているだろう。
実はここへきて最初の夜、店の二階にある部屋で、暗くなった夜更けに窓を開けて月を見上げた時だった。
ミルがマリィとやり取りをする時に使っていたミミズクのロロが飛んできたのである。